「日々の受発注業務が電話やFAXだらけで限界だ」 「在庫管理が属人化しており、欠品や過剰在庫が減らない」 「2024年問題で物流コストが上がり、利益を圧迫している」 「人手不足が深刻で、現場が疲弊しきっている」
業務用酒販店・業務用食品卸の経営層の皆様は、今、このような深刻な課題に直面されているのではないでしょうか。
「DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めなければ」とは思いつつも、 「どこから手をつければいいか分からない」 「高額なシステムを導入して失敗したらどうしよう」 「現場の社員が使いこなせるか不安だ」 と、一歩を踏み出せずにいる方も多いかもしれません。
私自身、業務用酒類食品卸の現場で10年以上システム開発とDX推進に携わり、大きな失敗も経験してきました。だからこそ、経営者の皆様が抱えるその不安や焦りを痛いほど理解できます。
この記事では、システムエンジニアから現場に入り、基幹システム刷新、需要予測システム開発、新規事業立ち上げを経験した私の実務者としての視点から、業務用食品卸業界特有の課題を踏まえた、失敗しないDX推進の具体的な道筋と、本当に成果に繋げるためのポイントを、包み隠さずお伝えします。
この記事を読めば、貴社が「今すぐ取り組むべきこと」と「絶対にやってはいけないこと」が明確になります。
目次
- ・なぜ今、業務用食品卸業界でDXが「待ったなし」なのか?
- ・【私の失敗談】システム導入が「目的化」し、大幅な計画変更を余儀なくされた
- ・業務用食品卸DXの「よくある誤解」と「本当の目的」
- ・業務用食品卸特有の「7つの壁」とDXによる解決策
- ・【私の成功体験】現場が「本当に使える」システムが会社を変えた
- ・失敗しない業務用食品卸DX推進の「5つのステップ」
- ・業務用食品卸のDX推進でよくある質問(Q&A)
- ・まとめ:DXは「目的」ではなく、未来を創る「手段」です
- ・【執筆者】プロフィール
なぜ今、業務用食品卸業界でDXが「待ったなし」なのか?
多くの業務用食品卸売業の現場では、今もなお電話、FAX、紙の伝票といったアナログな業務が主流です。しかし、この「従来の方法」が、今や経営を揺るがす大きなリスクとなっています。
業界を取り巻く「3つの逆風」
1. 深刻な人手不足と高齢化:
日本の生産年齢人口は減少し続けており、特に物流や倉庫作業を担う人材の確保は年々難しくなっています。少ない人数で従来のアナログ業務を回すことは、現場の負担を増加させ、ミスを誘発し、従業員の離職にもつながります。
2. 物流「2024年問題」の直撃:
トラックドライバーの時間外労働規制強化により、輸送能力が低下し、物流コストは確実に上昇しています。多品種小ロット配送が求められる業務用食品卸業界にとって、配送の効率化は待ったなしの課題です。
3. 消費者・取引先(飲食店)ニーズの多様化:
消費者の食の多様化に伴い、飲食店が求める食材も細分化しています。これに対応するため、卸売業者はより多くの商品(SKU)を取り扱う必要に迫られ、在庫管理や受発注業務は複雑化の一途をたどっています。
アナログ業務が引き起こす経営リスク
これらの逆風の中、アナログな業務を続けることは、具体的に以下のようなリスクを生み出します。
• 業務の属人化: ベテラン社員の「勘と経験」に頼った発注や在庫管理は、その人がいなければ業務が止まるリスクを抱えます。技術の継承も難しく、組織としての成長を妨げます。
• データ活用の遅れ: 紙やFAXで受けた注文情報は、データとして蓄積・分析されにくいのが現状です。どの商品が、どの取引先に、いつ売れているのか。この貴重な販売データを経営戦略や営業提案に活用できていない企業が非常に多いのです。
• 生産性の低下とミスの多発: 電話やFAXの内容を基幹システムに手入力する作業は、時間がかかるだけでなく、入力ミスや転記ミスの温床です。受注ミスは誤配送や欠品につながり、取引先の信頼を失う原因となります。
経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」では、既存の古いシステム(レガシーシステム)を放置した場合、2025年以降、日本全体で年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性が指摘されています(いわゆる「2025年の崖」)。
業務用食品卸業界は、まさにこの崖っぷちに立たされているのです。
【私の失敗談】システム導入が「目的化」し、大幅な計画変更を余儀なくされた
「DXを進めなければ」という焦りから、高額なシステムを導入したものの、現場で使われずに終わってしまった。そんな苦い経験をお持ちの経営者の方もいらっしゃるかもしれません。
何を隠そう、私自身がその大失敗を経験した一人です。
私がシステム開発会社から業務用酒類食品卸の株式会社マルト水谷に転職し、2015年に最初に取り組んだのが、基幹システムのクラウド移行(「Mach」から「Mach GROA」への刷新)でした。
当時の私は「新しい技術を導入すれば業務は効率化されるはずだ」と信じ、システムエンジニアとしての視点だけでプロジェクトを進めてしまいました。
しかし、結果は惨憺たるものでした。
業務用食品卸DXの「よくある誤解」と「本当の目的」
私の失敗談にも通じますが、業務用食品卸の経営層がDXを推進する際、陥りやすい「誤解」があります。
誤解1:「高いシステムを入れれば解決する」
大手ITベンダーの最新システムや、AIを使った需要予測ツールなど、「高機能=高性能」と考えがちです。しかし、自社の業務規模や課題に合わないオーバースペックなシステムは、宝の持ち腐れになるだけでなく、運用コストや現場の教育コストばかりがかさむ結果になります。
誤解2:「DX = デジタル化(受発注のオンライン化)」
電話やFAXをWeb受注システムに変えることは、DXの「第一歩(デジタル化)」に過ぎません。これ自体は業務効率化に繋がりますが、それだけでは競争力の向上にはなりません。
業務用食品卸DXの「本当の目的」とは?
私が考える業務用食品卸DXの本当の目的は、「デジタル技術を活用して業務プロセスを変革し、競争力を向上させること」です。
電話やFAXをWeb受注に変えることは、DXの「第一歩(デジタル化)」に過ぎません。これ自体は業務効率化(守りのDX)に繋がりますが、それだけでは競争力の向上にはなりません。DXの真の目的は、まずデジタル技術を活用することです。例えば、データに基づく業務プロセスを構築し、伝票の再入力や請求時の修正といった「後作業」を徹底的に削減する。
そして、誤配、数量間違い、欠品といった日々のミスや、それによるクレームを無くすこと。つまり、業務用卸として当たり前の「正しい仕事」を行う体制を構築することです。「正しい仕事」が実現すれば、おのずと「正確な在庫管理」が可能になります。理論在庫と実在庫が一致すれば、粗利の向上にもつながります。また、ミスがないことで取引先からの「信用」を獲得し、長く取引を継続していただく強固な基盤ができます。さらに、受注や伝票処理などの内勤業務(内の時間)をデジタル化・自動化することで生まれた時間(=外の時間)を、本来やるべき営業活動や取引先とのコミュニケーションに振り向けること。もちろん、将来的には蓄積された販売データを分析し、営業提案に活かす「攻めのDX」も視野に入れるべきです。しかし、それ以前に、まずは足元の業務プロセスをデジタル化で固めてミスをゼロにし、粗利を改善し、お客様の信頼を勝ち取ること。そして、営業担当者が「外に出る」時間を創出すること。
これこそが、価格競争から脱却し、大手卸やEC専業業者との差別化を図る、中小規模の業務用卸が目指すべきDXの姿だと私は考えています。
業務用食品卸特有の「7つの壁」とDXによる解決策
業務用食品卸のDXが他の業種と比べて難しいと言われるのは、業界特有の複雑な業務プロセス(=壁)が存在するからです。私自身、これらの壁に何度もぶつかってきました。
壁1: 複雑すぎる受発注(電話, FAX, LINE, Web…)
飲食店からの注文方法は、いまだに電話やFAXが多く、近年はLINEや個別の受発注システム(BtoB EC)も混在し、受注窓口が分散しています。
• 課題: 各チャネルからの注文を基幹システムに手入力する手間、聞き間違いや入力ミス、受注漏れが発生しやすい。
• DXによる解決: 受注チャネルを一元管理できるシステムを導入。FAXのOCR自動読み取りや、LINE受注のシステム連携により、手入力作業を大幅に削減し、ミスを防止する。
壁2: 多品種小ロット・不定貫・ロット管理
食品はSKU(商品数)が膨大で、飲食店からは1本、1パック単位での注文(多品種小ロット)が求められます。さらに、食品に多い「不定貫商品(重量が個体によって異なる)」や、賞味期限管理も必要です。
• 課題: 在庫管理が非常に複雑。ハンディターミナルなどを使わない目視でのピッキングはミスが多く、在庫差異(理論在庫と実在庫のズレ)が発生しやすい。
• DXによる解決: 販売管理システムと連携した「倉庫管理システム(WMS)」を導入。ハンディターミナルによるバーコード検品でピッキングミスを削減し、在庫もリアルタイムで正確に把握する。
壁3: 属人化した需要予測と発注業務
「この商品は週に何ケース売れるか」という需要予測を、ベテラン担当者の「勘と経験」に頼っている企業が非常に多いのが現状です。
• 課題: 担当者の退職によるノウハウ喪失リスク。過剰在庫による廃棄ロスや、欠品による販売機会損失が発生しやすい。
• DXによる解決: 過去の販売データや天候、イベント情報などを活用したAI需要予測システムを導入。担当者の勘に「データ」という根拠を加え、発注業務の精度向上と標準化(属人化の解消)を図る。
壁4: メーカーリベートと空容器回収の管理
酒類・飲料業界特有の、複雑なメーカーリベート(販売奨励金)計算や、ビール樽・瓶などの空容器回収管理。
• 課題: これらを手作業やExcelで管理していると、膨大な手間と計算ミスが発生し、利益管理が不正確になる。
• DXによる解決: 業界特有の商習慣に対応した販売管理システムを導入。リベート計算や空容器の入出庫管理を自動化し、経理業務の負担を軽減する。
壁5: 配送の割り振りの非効率化とシフト調整の負担
注文の多くは当日の朝に確定するため、その日の注文量や配送エリアの偏りが読みにくく、配送シフトやドライバーの負担が毎日大きく変動します。土日祝日、月末月初、イベントなどによって、飲食店の注文状況が毎日違うため、最適なシフトを決めていくのは非常に大変です。
• 課題: 配送量の偏りが当日まで読めないため、特定のドライバーへの負担が偏りやすい。配送シフトの調整作業が管理者の大きな負担になっている。
• DXによる解決:
・過去の注文データ(曜日、月日、イベントなど)を活用したデータによる予測(AIの高度な予測ではなく、あくまで傾向把握と目安設定)を導入し、あらかじめ配送量の偏りを想定したベースシフトを作成する。
・配送区域割を設定・共有し、当日の注文確定後の変更は最小限で済むような運用をルール化する。
壁6: 営業活動における情報と価格決定の属人化
営業担当者が個々の取引先に対する販売価格や、提供できる商品、在庫の状況などの詳細な情報を個人の知識や手元の資料に依存しています。そのため、担当者以外では価格情報や、商品の詳細な内容について取引先からの問い合わせに即座に答えられない状況が発生しています。
• 課題: 営業担当者が不在の際、お客様からの価格や商品に関する問い合わせに対応できない、時間がかかる。また、営業担当者が個々の取引先に対して、「特別価格」を決めてしまうなど、価格決定プロセスが担当者に属人化し、全社的な利益率の低下につながりやすい。
• DXによる解決:
・販売管理システムでの価格マスタ設定を徹底し、承認プロセスをシステム化することで、価格決定の仕組みを標準化する。
・最新の在庫、正確な価格、商品情報などを一元管理すると同時に、紙のカタログではなく、Web上で最新情報を反映したWebカタログ(BtoB EC)を活用し、担当者の手元の情報に頼らず、正しい情報で提案できるようにし、問い合わせ対応の属人化を解消する。
壁7: 現場の抵抗とデジタル人材不足
最大の壁は「人」です。
• 課題: 「今のやり方を変えたくない」という現場の抵抗。新しいシステムを使いこなすための教育や、DXを推進できるIT人材が社内にいない。
• DXによる解決: これは技術だけでは解決できません。「なぜ変える必要があるのか」という経営層のビジョン共有と、現場の意見を丁寧に吸い上げるプロセスが不可欠です。また、すべてを自社で行うのではなく、業界を理解している外部パートナー(支援企業)のサポートを活用することが現実的な解決策となります。
【私の成功体験】現場が「本当に使える」システムが会社を変えた
先の基幹システム刷新では大失敗をしましたが、もちろん成功体験もあります。マルト水谷の「速達生」という樽生ビール品質向上サービス向けに開発した需要予測システムです。これは私がマルト水谷に入社する前の2011年頃の話ですが、この時の経験が、後の私の考え方のベースになっています。「速達生」は、工場出荷から2日以内で飲食店に新鮮な樽生ビールをお届けするという、鮮度を追求したサービスです。この品質を維持するためには、正確な需要予測が必須でした。さらに、メーカーからの納品が日曜日にはないため、供給側の制約も考慮する必要があり、通常日で0.6日という非常に短い在庫回転日数で商品を回すことが求められていました。このタイトな条件の中で、いかに欠品なく、かつ過剰在庫を抱えないか、現場は常に頭を悩ませていたのです。
この課題に対し、私たちは以下のポイントでシステムを開発しました。
・「予測精度」より「現場の指標」を重視した 当時のAI予測は精度が低く、単純な予測数字だけでは現場は使えません。そこで私たちが重視したのは、現場が日々の業務で判断基準としている「在庫回転日数」と「欠品率」という具体的な指標でした。これらの指標でシミュレーションすることで、現場担当者が自身の判断に自信を持てるようにしました。
・現場が使い慣れた「Excel」で実装した 新しいシステムを導入するのではなく、現場担当者がシミュレーションしやすいよう、あえてExcelとマクロ(VBA)で開発しました。これにより、現場の導入ハードルを最小限に抑え、抵抗なく日々の業務に組み込んでもらうことができました。
このシステム開発の成功から学んだのは、「DXとは、まず『こうあるべきだ』という具体的な姿を明確に定め、それを実現するために、現場が“本当に使える”道具(テクノロジー)を提供するものだ」ということです。
この成功体験と、前述の基幹システム刷新の失敗体験。この双方の経験が、今の私のDX推進の軸となっています。また、コロナ禍では飲食店のDXを支援する新規事業として、独自レジやテイクアウト予約サービスを立ち上げたり、社内のデータ分析基盤としてBIツールを導入したりと、複数のデジタル施策を実践してきました。これらの取り組みを通じて、データを活用すれば、業務用卸はもっと飲食店に価値を提供できると確信しています。
失敗しない業務用食品卸DX推進の「5つのステップ」

では、具体的に何から始めればよいのか。私の経験上、業務用食品卸のDX推進は以下の5つのステップで進めることを強く推奨します。
ステップ1: 経営層の「覚悟」と「あるべき姿」の明確化
DXは「IT担当者に丸投げ」では絶対に成功しません。 「なぜDXをやるのか?」「デジタル技術を使って、5年後、10年後、会社をどうしたいのか?」 まずは経営層が「覚悟」を決め、ビジョン(あるべき姿)を明確に言語化し、社内全体に発信し続けることがスタートです。
ステップ2: 現場の課題を「見える化」する(業務フローの棚卸し)
次に、現場の業務プロセスを徹底的に洗い出します。 「誰が」「いつ」「どんな作業を」「何のために」やっているのか。 特に、受注、発注、在庫管理、ピッキング、配送、請求、入金などといった基幹業務の流れを「見える化」し、どこにボトルネック(非効率、ミス、属人化)があるのかを特定します。この時、必ず現場の担当者を巻き込むことが重要です。
ステップ3: 「小さく始めて大きく育てる」スモールスタート
最初から全社的な大規模システム刷新(私の失敗例です)を目指すのはハイリスクです。 まずは、ステップ2で見つかった課題のうち、「最も効果が出やすく、現場の負担が大きい」業務(例:FAX受注の自動化、ハンディによる検品など)からスモールスタートします。 そこで小さな成功体験(「入力作業が楽になった」「ミスが減った」)を積み重ね、現場の協力を得ながら対象範囲を広げていくのが着実な進め方です。
ステップ4: ツール選定の罠(「機能」より「サポート」を重視)
システムやツールを選定する際、機能一覧(機能比較表)だけで判断してはいけません。 重視すべきは、「自社の業務(特に、業界特有の要件)に本当に合っているか」そして「導入後、業界を理解した上でサポートしてくれるか」です。パッケージシステムを無理やり自社の業務に合わせようとすると、現場の負担が増加する可能性があります。
ステップ5: 導入して終わりではない「現場定着」への伴走
システムは導入がゴールではありません。現場が使いこなし、業務が改善されて初めて「成功」です。 導入初期は必ず混乱や抵抗が発生します。この時期に、導入支援パートナーが現場に寄り添い、操作説明や運用ルールの見直しを一緒に行う「伴走支援」があるかないかで、DXの成否は大きく分かれます。
業務用食品卸のDX推進でよくある質問
経営層の皆様からよく寄せられる質問について、私の経験からお答えします。
Q: DX推進には多額の投資が必要では?
A: 必ずしもそうとは限りません。ステップ3で述べたように、まずはスモールスタートが重要です。例えば、月額数万円から利用できるクラウド型の受発注システムやRPA(業務自動化ツール)を導入し、FAX入力業務を削減するだけでも、人件費削減やミス防止の面で大きな投資対価効果が得られる可能性があります。最初から大規模な基幹システム刷新を考える必要はありません。
Q: 現場の社員(特に高齢の従業員)がシステムを使いこなせるか不安です。
A: 最も多い不安であり、最大のハードルです。これを乗り越えるには、「シンプルな画面設計」のツールを選ぶことと、ステップ5で述べた「現場定着への伴走支援」が不可欠です。私たちが重視しているのも、まさにこの点です。いきなり全てを変えるのではなく、まずは「これだけは使ってください」という機能を絞り込み、粘り強くトレーニングを行うことが重要です。
Q: 小規模な卸売業でもDXは必要ですか?
A: むしろ、リソースが限られる小規模な卸売業こそ、DXによる業務効率化が必須だと考えます。大手が資本力でDXを進める中、アナログな業務を続けていては、生産性の差は開く一方です。小規模だからこそ、自社の強み(例:地域密着の提案力)にリソースを集中させるため、自動化できる業務はデジタル技術に任せるべきです。
Q: システム導入後のサポート体制はどうなっていますか?
A: システム会社によって様々ですが、注意すべきは「システムのことしか分からない」サポート体制です。業務用食品卸業界の特有の商習慣を理解していないと、現場の「困った」に的確に対応できません。パートナーを選ぶ際は、「業界の業務をどれだけ理解しているか」を必ず確認してください。
Q: 他社のDX成功事例をもっと具体的に知りたいのですが。
A: 多くの企業が取り組みを始めています。例えば、Web受注システム導入による受注業務の20%削減、AI需要予測による在庫回転日数や欠品率の改善、倉庫管理システム(WMS)導入によるピッキングミスの大幅削減など、具体的な事例は多数あります。もしご興味があれば、個別にお問い合わせいただければ、貴社の状況に近い事例をご紹介することも可能です。
【まとめ】DXは「目的」ではなく、未来を創る「手段」です
本記事では、業務用食品卸のDXについて、私の失敗談と成功体験を交えながら、業界特有の課題と、失敗しないための具体的なステップを解説してきました。
重要なことなので繰り返しますが、DXはシステムを導入することが目的ではありません。 それはあくまで「手段」です。
本当の目的は、デジタル技術という「道具」を使って、深刻な人手不足やアナログ業務の負担といった「課題」を解決し、データを活用した新しい提案(価値)を生み出し、会社の競争力を高めて未来を創ることです。
私自身、システム刷新で大きな失敗をしましたが、その失敗から「現場運用を理解した設計」と「現場への定着支援」の重要性を骨身にしみて学びました。
そして、我々が業務用酒類食品卸として長年培ってきた「ノウハウ」は、デジタル技術と掛け合わせることで、さらに強力な価値を生み出せると確信しています。
経営者の皆様へ:その課題、私たちも経験しました
あなたの会社が今抱えている課題(人手不足、アナログな受発注、複雑な在庫管理、属人化した営業…)は、きっと私たちがマルト水谷で経験し、乗り越えようとしてきた課題と同じはずです。
私たちは、単なるシステム開発会社ではありません。 業務用酒類食品卸の「現場」を知り、そこで「失敗」し、そこから「学んだ」実務者が、同じ悩みを抱える全国の業務用卸売業の皆様を支援するために立ち上げた事業部です。
私たちが提供するサプライヤー支援事業(販売管理システム)は、まさにこの経験の結晶です。
「何から手を付ければいいか分からない」 「過去にシステム導入で失敗したトラウマがある」 「自社の業務に合うシステムが見つからない」
もし少しでもそう感じていらっしゃるなら、まずは「貴社の今のお悩み」を私たちに聞かせていただけませんか? 私たちが貴社のDX推進の「羅針盤」となり、現場に寄り添いながら伴走します。
まずは30分の無料相談で、貴社の状況をお聞かせください。システムを売り込む場ではありません。同じ業界の仲間として、具体的な解決策を一緒に考えましょう。
▼まずはDX推進に関するお悩みをご相談ください 「DX推進の無料相談」を申し込む
▼現場の声から生まれた「販売管理システム」の詳細はこちら 「インサイトリード販売管理システム」の資料をダウンロードする
【この記事の執筆者】
梶田典宏 株式会社インサイトリード 代表取締役社長
<経歴> システム開発会社でシステムエンジニアとして従事後、2015年に業務用酒類食品卸の株式会社マルト水谷に入社。基幹システム(販売管理システム「Mach GROA」)のクラウド移行プロジェクトを主導。コロナ禍では新規事業部で飲食店向けDX支援(独自レジ、テイクアウト予約サービス)を立ち上げる。BI導入、オンライン受発注システムなど、複数のデジタル化プロジェクトに携わる。2023年6月より、グループ子会社である株式会社インサイトリードの代表取締役社長に就任。AIなどの先端技術を活用した新規事業開発にも取り組んでいる。
<読者へのメッセージ> 「DXは目的ではなく手段です。私自身、システム刷新で大きな失敗を経験しましたが、その失敗から『現場運用を理解した設計』の重要性を学びました。業務用卸の現場を知る者として、同じ悩みを抱える経営者の皆様に、実践的なDX推進のヒントをお届けします。」


